麻の帯
単衣の帯:帯芯が入っていない一枚布の帯
麻糸を織ってあるので少しゴワっとした手触りで、丈夫です。
今回は単衣の麻帯と、裏付きの名古屋仕立ての麻帯からそれぞれ、夏用バッグを作りました。
名古屋八寸帯:帯芯が入っている帯
帯のリメイク
1.下準備
デザインする
バッグづくりに取り掛かる前は、結構なんにちも、どんなデザインにしようか考えています。
帯を触り、眺めながら、バッグになって使われているところを想像します。
帯に向かって、「どんなバッグになりたいの?」と聞いたりしてね(-_-;)
だから、この時間を「帯との対話」と呼んでいるんです(笑)
持ち手は?
大きさは?
形は?
どんな手にもたれているの?
緑の帯は、すぐに、木々の風に吹かれて自然の中を元気に進み、時々勢いよく跳ねている様子がみえましたから、大げさに言ってる割りには単純なものですね。
ビワの帯は、結構時間をかけて、あれこれ想像しましたが、ついに、お洒落な帽子にパラソル片手の白い服、中にはサンドイッチのお弁当まで見えちゃいました。
これはデザインを決定するきっかけにすぎませんが、これが見えないと、作り始めてから、いろいろ迷いが出てしまうのです。
そして、期待にワクワクできるこの時間が、制作中で一番夢いっぱいの楽しい時かもしれません。
ハサミを入れる
帯のリメイクで最初に帯地にハサミを入れるときは、緊張します。
もう、帯ではなくなるのですからね。
軽く息を吸ってハサミを入れますが、心の中では、
「お疲れ様でした。ありがとうございます。新しいバッグにさせていただきます。」とお辞儀をしています。
ここまで来たらあまり夢は見ないで、機械的に裁断します。
体験から、帯地はほつれやすいのでピンキングばさみが一番いいです。
それでも糸がこぼれてしまう時は、ボンドを切り口にのばしておきます。
模様織りの裏側を覆っていいる裏打ち帯地をほどいていきます。
帯地と区別できない同色の絹糸が、等間隔で丁寧に手縫いしてあるので、糸ほどきも厳粛な気分です。
模様の裏の保護
やがて、模様の裏が現れます。
最初の感動の一瞬です。
織り師の丁寧なしごとにため息が出ます。
一筋一筋、あの機織りですよ!!
今回は縦糸(経糸)と横糸(緯糸)の色を違えたり、複数の糸を混ぜる交織で、柄に合わせて、途中で糸が折り返して止めてあったりします。
色糸をそのまま次に必要なところまで引っ張っていないので、裏も柄がくっきり見えますね。
比較的扱いやすいですが、保護のためもあって、接着芯で押さえます。
裏布、ポケット、持ち手
それぞれ裁ち、裏布と持ち手には接着芯を貼ります。
ポケットは、両脇と底の切り口に裁ち目かがりをするか、ボンドをのばします。
折り返しは全部、しっかりアイロンで折り目をつけます。
持ち手などは、縫いながら、必要な場所にはもう一度アイロンをかけるとやりやすいです。
きちんと、そして楽に作るには、アイロンとボンドが役に立ちます。
2. 縫う
いよいよ縫います。
とは言っても、下準備からは製作段階、縫製は最後の仕上げです。
☆裏布にポケットを付けます。
☆裏布の両脇と底を縫います。
この時、ポケットの口がわを底に向けないよう注意です。
というのも、実は、すっかり仕上がってから逆さになっているのに気づき、ほどいてやり直したことがあります💦
・底の両角を三角に縫ってマチを作ります。
☆表布の両脇と底を縫います。
表布の口幅と裏布の口幅をしっかり合わせてから縫わないと、ここもやり直しが起きる場面です。
寸法的には同じですが、内側にはいる裏布の方がわずかに小さいですからね。
・底の両角を縫ってマチを作ります。
☆持ち手を縫います。
ここはデザインに従って、いろいろ工夫して楽しめます。
☆、裏布の口に持ち手を取り付けます。
緑の帯は口を折り返しません。
ビワの帯は、折り返し部分の折り返し口より深いところを縫い止めます。
☆ 表布と裏布を合わせ、口から1cmくらいのところをぐるっと縫い合わせて出来上がりです。
帯バッグ「避暑地」
帯バッグ「緑の風」→creema の今週の百選に選ばれました。
帯バッグ「ビワの実」
リメイクであればこそ
美しい色、美しい物、美しい布、美しい糸、そんなものが大好きな私は、縫ったり編んだりしている時が至福の時です。
新しい布や糸から何かを作るのはもちろん楽しいです。
でも、帯のリメイクには、新しい素材の制作よりも得るものがたくさんあります。
1.まず、元の帯を作った職人さんたちのセンスと技が借りられる
帯の図柄を一本一本の経糸と緯糸で折りこんでいくのですから、デザインの後には、それを織り図に起こす人がいます。
機織り機で折りこんだ時に一番効果的になるように、糸を染める人がいます。
金銀の箔を細い糸状にする職人さんもいます。
織り図どうりに一本一本の糸を手にとって織る人がいます。
この一連の工程は、それぞれの段階で、何度も何度も試行錯誤を繰り返して進んでいきます。
この苦労とセンスと技術を、私はそっくり材料にさせてもらえるのです。
2.帯に仕上げる縫い手の丁寧さと正確さの実例を学べる。
この縫い手さんの作業を、私は逆にたどりながら帯を分解していきます。
何と正確に手縫いされていることか・・・(・・・はため息の音)
いかに丁寧に、芯が、見えないところでしっかり取り付けられているか・・・
そして裏地と表地の縫い合わせの千鳥縫いの精巧なこと・・・
美しい光沢の手縫い糸が規則的に続く小さな千鳥縫いの一列!
感動して、唸りながらほどいていますよ。
技術はとうてい及びませんが、丁寧にやることを覚えました。
そして、見えないようにしっかり付ける方法なんかも自分なりに見つけるヒントをもらっています。
3.まるで絵画鑑賞しているように感動できる
帯はいわば、タペストリーのようなもの。
もう、これだけで完成した芸術品です。
それが、女性が身に着けるために差し出されているなんて、とても贅沢なことです。
日本人の暮しって、すごく文化的だったんですね。
女性の背中の芸術品を、もう一度、誰かの脇に置くのが私の仕事!
仕事をしながら、たっぷりと芸術鑑賞させていただけるなんて、うれしいことです!
あなたもやってみませんか?
もう誰も締めなくなった帯。
邪魔だけど捨てられない。
古着屋さんに売ろうかな。
なんて思っていたら、バッグにしてみませんか?
そしたらまた、生活の中で、帯の美を生かすことができますよ。
もし、やってみる気になったら、知らせてくださいね。
メールでお手伝いします。
やることは、たったの3つ。
ほどくこと、まっすぐ裁つこと、まっすぐ縫うこと。
意外と簡単で、楽しいですよ。
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