ハンドメイド

ハンドメイドの未来予測-1ハンドメイドの昔

投稿日:2021年2月26日 更新日:



私の目で見たハンドメイドの昔と今

昔はハンドメイドは生活の一部だった

昔のお母さんは、たいてい、子供や自分の普段着は手作りしていました。

私の母も、私たちが寝た後、遅くまで、縫ったり編んだりしていたのを思い出します。

少し背を丸め、黄色い電灯の下で一心に手を動かしていました。

 

そして朝起きてみると、妹と同じデザインで生地が違うワンピースとかスカートとかが枕元に置いてあり、

母はもう台所で、アルミのお玉を手に湯気のたつお鍋の前で朝ごはんの準備中。

 

遠足の朝、白いポンポンのついたえんじ色のセーターを見つけた時は嬉しかった!!

 

あの感動が忘れられないからですね、

秋、えんじ色の菊の花が咲くと、決まってセーターが編みたくなります。

 

新作の一品物の子供時代でした(笑)

でも、実は、ありあわせの材料を工夫した苦労の末の「新品」でした。

余り布や余り毛糸、それに母の何かをほどいたり・・・

 

お裁縫や編み物が得意な人は、あまり得意でない人から頼まれて作ってあげたりもしていましたが、

ハンドメイドの日常着が普通だったのは、作らなければ必要な物が無かったからです。

 

つまり、好き嫌いは二の次の必要な家事の一つがハンドメイドでした。

 

やがてハンドメイドは道楽(趣味)になる

社会がだんだん豊かになってきて、必要な物が満たされてきました。

既製品が出回り、わざわざ作らなくても必要な物は買えば済むようになります。

 

機械化も進み、輸送力も上がるにつれ、大量生産品が全国に行き渡るようになりました。

一定水準を満たした必要品が安くで手に入るようになれば、わざわざ高額の材料を調達してハンドメイドをする必要はなくなります。

費用の点からも時間や手間の点からも、ハンドメイドは効率が悪いですからね。

 

それでもわざわざハンドメイドをやる人は、「ハンドメイド好きな人」だけになったのです。

つまり、あの昭和の高度経済成長期から、ハンドメイドは「釣り」や「盆栽」と同じ、道楽の一つとなりました。

 

追い打ちをかける事態

ハンドメイドを日常の必要から外すのに追い打ちをかけたのが、ファッションの画一化です。

メディア広告の力で、子供から大人まで、流行にのり、お揃いの物を求めるようになります。

子供のキャラクター好きから、挙句の果てに大人のブランド志向も生まれました。

 

某デザイナーのバッグならケミカルでも高価。

あの○×なデザインをみんなとお揃いで持つことに惜しげもなく高額を支払うようになります。

 

みんなと同じが最高の価値!?

なぜ?

自信がないからです。(イジワル、<(_ _)>💦)

 

でもまあ、これはメディアの販売戦略があたったのですよね。

メディアは、経済動向や社会心理とかよく研究していますから、けっこうあっさり乗せられてしまいます。

経済的余裕があれば簡単に、そして、経済的余裕がないと逆に無理してまでも、流行に振り回されてしまいます。

 

でも、私は思います。

ファッションの画一化、ブランド志向は、却って、ハンドメイドには幸運だった!

 

なぜかと言うと、必要性に制限されることなく、自由に発展することができたからです。

趣味に徹して、好きに遊べます。

私が見てきたハンドメイドの発展

私のハンドメイド歴は長いうえ、母が手芸作家で教室もやっていたので、ハンドメイドの様子はかなり見てきた方だと思います。

 

1960年くらいから30年間くらいは、母のそばで見ていたのですが、材料仕入れには浅草橋の問屋まで通っていました。

生地屋さんや毛糸屋さんは近所にもあり、店頭で作り方も教えてくれましたが、これは昔のホームメードが必要だった時代の名残のようなものです。

 

洋裁・編み物とは別の、多種多様な手芸材料が調達できる環境は整っていませんでした。

また、今ほどハンドメイドの種類もありませんでした。

 

やがて、徐々に、趣味のハンドメイドが主婦やOLの間で広がっていきました。

花嫁修業のお茶やお花に代わって一般的になっていった感じです。

 

高度経済成長期に重なります。

 

ハンドメイドファンが増えるにつれ、種類もどんどん増えていきました。

1965年から1970年にかけて人気があったのは、水鳥の羽根を染めて作る大輪の花と、出はじめのレジンでした。

 

レジンに花を入れたいと思えば自分で花を摘んだり買ったりして、シリカゲルを使って乾燥させていました。

もちろん、レジンを固める便利なライトなんてありません。

天日干しでした。

母がドライにした小花を使って作ってくれた文鎮を、私は今でも書道で使っています(笑)

 

そして、このハンドメイド人気に合わせ、手芸教室も盛んになり、手芸材料屋さんもこのころから成長し始めています。

例えば、全国規模で大きくなった手芸材料店ユザワヤは、1955年東京蒲田の毛糸屋さんから出発しています。

 

街の毛糸屋さんやボタン屋さん、生地屋さん、みんなが手芸小物を置くようになって、ハンドメイドブームになっていきます。

このブームはドンドン進むと誰もが思っていました。

 

ところが、です!

この世は大きなジェットコースター!!

グングン上るのは、後に待つ急降下のためなんですよね💦

頂点が高ければそれだけ落ちる勢いは激しくなります。

やがて、バブル景気がはじけて経済が落ち込みました。

ユザワヤも赤字の店舗を閉店していきました。

 

社会に、趣味の余裕もなくなったのです。

 

この間に、ハンドメイドの舞台から母は去り、私たちの世代が、かなり細々とハンドメイドを続けてきました。

(母はハンドメイド趣味が盛んになるラッキーな時期を体験し、停滞期を知らないで済んだのですね♡)

 

今さらですが、趣味には、余裕が必要なんですね。

 

では、経済が活性化しない限り、この状態がずっと続くのでしょうか。

明日はどうなるのでしょうか。

今はどんな時代?

先日、久しぶりに銀座に出かける用事があったのですが、あまりひっそりしているのに驚きました。

世界的な有名ブランドの建物がみんな新品で、銀座通りを見下ろしてキラキラしているのが、空しかったですねぇ~(と、しみじみ)

よそよそしかった・・・

 

コロナ自粛のせいもあるでしょうが、新宿や渋谷の活況とは別世界でした。

 

昔の銀座を知っているから余計に感じるのかもしれませんが、今の銀座通りには人間の匂いがありません。

思い出や未来、希望や不安、ひょっとして絶望とかを、ちょっと託せる隙間とか陰が全くなくなってしまいました。

少なくともメイン通りでは、銀座が自分の過去や奥行きを失い、名無しの街が出現していました。

 

ブランド志向の真っただ中で計画された銀座の改造だったと思うのですが、

もう、時代は変わっているようです。

 

どんな流行も続きません。

私たちは飽きっぽいというのも、心理的事実です。

そして、社会は常に変動中です。

 

だからこそ、温故知新

現状が、長い時間の変化の中でどんな位置にあるのか、未来はどうなるのかを予測することは必要です。

大好きなハンドメイドを続けるためにも。

 

バブル期に未来予測を誤ったがために、しなくていい失敗をした人も多かったですからね。

 

つづきは、2ハンドメイドの現在  に書きました。

お便り、感想、あなたの未来予測など、コメントいただけると嬉しいです!!


 

耳寄りなお知らせ

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